佐賀大学医学部がキヤノンと共同で、自動 CT 解析装置を開発

佐賀大学医学部血液・呼吸器・腫瘍内科(木村晋也教授)の荒金尚子診療准教授らは、キヤノン社と共同で自動CT解析システムの臨床開発に成功した。本技術は自動判定であり、世界中どこでも同じ結果が得られる。クラウド技術を利用することで、世界中で情報共有が可能であり、国際共同治験に利用されることが期待される。(本結果は、2013年9月欧州臨床腫瘍学会に報告)。

抗がん剤開発に必須である臨床治験では、CT検査での腫瘍縮小効果が重要な判定基準として用いられる。現在臨床治験は、一つの国だけでなく、世界同時に多くの国が参加する国際共同治験が主流となってきた。しかし各国あるいは各施設の医療レベルの違いにより、CTの検査結果の読影技術にばらつきがみられる。この問題点を克服するためには、ヒトの目に頼らない全自動解析システム、そしてクラウドを用いた情報の共有が望まれている。

キヤノン社が提携をしている仏メディアン・テクノロジーズ社は、治験画像診断・管理ソリューションであるlesion management solution (LMS)を開発し、欧米の100以上の医療機関で利用されているソフトウェアであり、アメリカ食品医薬品局の審査に通過し、欧州連合のCEマークも取得している。LMSは、CT画像に現れた腫瘍をコンピューター画面上でクリックすると自動的に輪郭を描くと同時に、腫瘍径、容量を自動計算する画像解析システムである。さらに、抗がん剤治療前後でのCT画像の比較において、標的の腫瘍病変を瞬時に描出し、腫瘍径、容量の経過をグラフ化することにより、抗がん剤の治療効果を容易に判定することができる。

今回、佐賀大学医学部血液・呼吸器・腫瘍内科は、肺がんに対し、クラウド上での上記システムの有用性について、キヤノン、メディアン、仏ニース大学と共同で検証を行った。本システムが実用化されれば、現在施行されている多くのがん臨床研究において迅速かつ正確なデータ収集が可能となると予想される。特に、近年増加している国際共同治験の迅速な遂行に貢献できる可能性が高い。さらに将来的には、肺がんのCT健診システムに応用することで、見落としなどの防止に役立つことが期待される。

お問い合わせ先

(1)医学部

血液・呼吸器・腫瘍内科 教授    木村晋也 TEL 0952-34-2353
血液・呼吸器・腫瘍内科 診療准教授 荒金尚子 TEL 0952-34-3607

最終更新日:2014年11月20日

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