上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤獲得耐性モニタリング

近年の分子標的薬の進歩に伴い、コンパニオン診断の重要性が増している。分子標的薬は、適切な患者集団を抽出して初めてその正確な薬効が得られる。特に、獲得耐性時の耐性機構の解析は、次治療決定のために不可欠であり、現在、re-biopsyが推奨されている。しかし、肺がんの多くが遠隔転移で増悪し、時々刻々と変化する分子生物学的変化をモニタリングするためには頻回の検査が必要である。そのため非侵襲的検査である血中遊離DNAを用いた遺伝子診断”liquid biopsy”は、きわめて有用と期待される。本研究室では、liquid biopsyにいち早く着手し、京都アークレイ社との共同開発で、高感度全自動変異検出系であるMBP-QP (mutation-biased PCR and quenched probe) systemを樹立した。単施設で施行した後ろ向き研究の結果を元に、多施設共同前向き試験を施行し、結果を世界の学会で報告し、現在論文投稿中である。

参考文献: J Thorac Oncol 2011; 6: 1639-48, J Thorac Oncol  2012; 7: 1369-81, Annual Review 呼吸器2015

最終更新日:2014年10月1日

(C)佐賀大学医学部附属病院血液・呼吸器・腫瘍内科