がん薬物療法における支持療法の開発

がん薬物療法で誘発される悪心・嘔吐対策の目的は、対症的なものではなく予防である。使用する抗がん薬の催吐性リスクを評価し,各リスクに応じた適切な制吐処置を行うことにより,患者の悪心・嘔吐の苦痛を抑えQOL を維持することを、本学附属病院薬剤部と共同で、シスプラチンなどの高度催吐性抗がん剤、中等度催吐性抗がん剤投与におけるアプレピタントの制吐効果、生活の質(QOL)への影響を後方視的に検討した。その結果、セロトニン拮抗剤、デキサメサゾンにアプレピタントを加える事により、悪心、嘔吐の軽減、QOL改善効果が得られる事を示した。また、悪液質の程度が軽度で可逆的な「Pre-chachexia」の段階での栄養サポートを重視し、外来化学療法施行中の消化器癌患者を対象とした栄養サポートの効果の検討から、予後因子であるGlasgow prognostic score(GPS)が栄養サポート介入後に有意に改善したことが示した。様々な支持療法の工夫が、がん薬物療法のコンプライアンスを保持し、最大の治療効果をもたらすことを検証中である。

参考資料:癌と化学療法 39:933-937;2012, 癌と化学療法 39:69-73;2012.

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最終更新日:2014年10月1日

(C)佐賀大学医学部附属病院血液・呼吸器・腫瘍内科