検査

1. 呼吸機能検査

いわゆる肺活量を測定するための検査です。呼吸器内科での検査としては、基本中の基本です。検査技師さんの合図に合わせて、大きく息を吸って吐き出すという検査で、10分程度で検査できます。慢性閉塞性肺疾患COPDや気管支喘息、その他の肺疾患を疑った時に検査を行います。呼吸機能検査では、“肺年齢”が分かります。特に喫煙習慣のある方で肺にあまり自信がないという方は、ぜひ検査を受けてご自身の“肺年齢”が何歳なのかを調べてもらいましょう。

2. 6分間歩行試験

30mの直線距離を往復しながら、6分間続けて歩行する検査です。検査の前後で動脈血液ガス分析を行い、検査中も酸素飽和度(SpO2)と脈拍を連続的に測定します。6分間という時間内にどのくらいの距離を歩くことができるかも、運動機能の一つの指標となります。慢性閉塞性肺疾患COPDなどの患者さんで、運動耐容能力がどの程度保たれているかを調べるときに検査します。

3. 呼吸抵抗検査

当院では、モストグラフ-01®を用いて呼吸抵抗を測定することができます。約1分間の安静呼吸で検査は終了です。気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患COPDの診断やコントロール状態の評価が可能です。また、咳が長引いている方の中には呼吸機能検査などでは検出できないような軽度の異常も呼吸抵抗検査で分かる場合があります。

4. 呼気NO検査

当院では、呼気一酸化窒素(NO)分析装置を用いて検査が可能です。呼気NO(FeNO)は、気管支喘息患者さんでの好酸球性気道炎症の程度を鋭敏に反映するバイオマーカーです。現在、吸入療法などを受けておられる患者さんの治療薬選択や咳が長引いている患者さんで気管支喘息の合併があるかどうかが分かります。

5. 気道過敏性検査

当院では、気管支喘息の患者さんの検査として気道過敏性検査を実施しています。喘息患者さんの気管支は様々な刺激物質に対して反応しやすく、健常人なら反応しないような弱い刺激でも気管支が反応してしまい喘息発作を引き起こすことがあります。アセチルコリンやメサコリンを低い濃度から吸入し、アストグラフを用いて安静換気のまま気道過敏性を測定することができます。

6. 24時間連続酸素飽和度測定

指先に装置を取り付けて、酸素飽和度を測定する検査です。慢性閉塞性肺疾患COPDなどの患者さんでは、労作時のみならず夜間睡眠時に酸素飽和度が低下している場合があります。簡単な機械を指に装着することで、24時間連続して酸素飽和度を測定可能です。

7. 気管支鏡検査

胸部レントゲンやCTで肺に異常が認められた場合、病気を詳しく調べるために行う検査です。肺の異常がある部分から組織を生検したり、肺胞洗浄を行い細胞や細菌学的な検査を行います。肺癌や間質性肺炎、サルコイドーシスなどを疑った場合に検査を行います。当院では、超音波プローブが気管支鏡先端に取り付けられている装置を用いて、気管支周囲のリンパ節生検を行っています(EBUS-TBNA)。また、肺生検の診断率を上げるために、末梢病変に対しても超音波プローブを用いた検査も行っております(EBUS-GS)。

8. 胸水穿刺

胸腔内に液体貯留をきたす状態を胸水といいます。肺の中ではなく肺の周囲にたまるものを胸水といいます。肺炎や胸膜炎などが原因のことが多いとされています。原因を調べるのが胸水穿刺です。胸部または背部の皮膚に局所麻酔を行い、細い注射針を用いて胸水を吸引します。採取した胸水で、生化学検査や細菌検査、細胞診検査などを行い胸水の原因を診断します。

9. CTガイド下生検

肺の中などに異常がある場合は、気管支鏡検査を行うことが多いのですが、肺の末梢に異常がある場合には、CTガイド下生検を行うことがあります。特に胸壁(皮膚)から比較的近い場所にある病変や縦隔の病変に対しては有用な方法です。CTという断層撮影機器で撮影を行いながら正確に病変部位から検体を採取することが可能です。

最終更新日:2014年10月1日

(C)佐賀大学医学部附属病院血液・呼吸器・腫瘍内科