気管支喘息におけるバイオマーカーの探索

気管支喘息の患者数は近年増加傾向にあり、成人有症率では人口の約3%(日本では200万人程度の患者数)である。吸入ステロイド薬の普及により喘息コントロールは改善しているが、標準的治療を行ってもコントロール不良である難治性喘息が問題になっている。

呼吸器グループでは、難治性喘息の治療改善に取り組んでいる。安静呼吸を約10分間行うことで採取できる呼気濃縮液(EBC: Exhaled Breath Condensate)中には、気管支喘息の炎症を反映する様々な物質が存在している。EBC中の炎症性サイトカインや窒素化合物を測定することで、気管支喘息の治療効果を数値で判定することが可能になる。我々は、安定期の気管支喘息において、どのような患者さんで吸入ステロイド薬を減量することができるかどうかを、バイオマーカーで診断することを目標とした臨床研究を行った。安定した気管支喘息では、ピークフロー値日内変動の幅が大きく、末梢血好酸球数高値に加え、末梢血ペリオスチン高値であれば、吸入ステロイド薬を減量した後に喘息悪化の危険が高いことを初めて報告した。

参考文献:Kato G, Takahashi, Izuhara K, et al. Biomark Insights. 2013; 8: 97-105

最終更新日:2014年10月1日

(C)佐賀大学医学部附属病院血液・呼吸器・腫瘍内科