他の白血病や悪性リンパ腫と異なり、ウイルス感染が原因となり白血病や悪性リンパ腫を起こす疾患です。
具体的には、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(Human T-cell leukemia virus Type I:HTLV-1)がT細胞(リンパ球の一種)に感染することで発症します。日本では120万人、世界では3000万人以上のHTLV-1キャリア(ウイルスを体内に持っている状態の方)がいると推定され、日本では九州を中心とした西南日本に患者さんが多いことがわかっています。HTLV-1キャリアのほとんど(90%以上)の方は生涯無症状で過ごされますが、一部の方に成人T細胞白血病リンパ腫を発症します。血液検査での異常や全身のリンパ節、肝臓、脾臓が腫れる、皮膚に腫瘤ができることで気づかれます。成人T細胞白血病リンパ腫は抗がん剤が効きにくい性質があり、化学療法のみで治すことは難しく、現在においても治療に難渋する病気です。最近では同種造血幹細胞移植の有効性が示され、適応できる症例は限られますが有用な治療法となっています。また、2012年より新規の分子標的薬であるモガムリズマブ(ポテリジオ)が使用可能となり、その良好な治療効果から今後さらなる臨床応用が期待されています。
佐賀県はHTLV-1キャリアの方が比較的多くおられ、当院では「HTLV-1専門外来」(http://www.hospital.med.saga-u.ac.jp/htlv1.counselee/)を開設し、キャリアの方々に対して疾患の情報提供やさまざまな悩みに関する相談を受け付けています。どうぞお気軽にご相談いただければ幸いです。
最終更新日:2014年10月1日
(C)佐賀大学医学部附属病院血液・呼吸器・腫瘍内科