肺がんは気管、気管支、肺胞の一部の細胞が何らかの原因でがんになったものです。近年、肺がんは日本人のがんによる死亡原因のトップとなりましたが、まだ増加する傾向にあります。
肺がんの危険因子を考える上で、喫煙習慣を切り離して考えることはできません。日本人を対象とした研究(2008年)では、喫煙者の肺がんリスクは男性で4.8倍、女性で3.9倍という結果でした。また、受動喫煙により発症リスクが高まることもわかっています。
肺がんは、小細胞がんと非小細胞がんの2つに大きく分けられます。
肺がんの約15~20%を占め、増殖が速く、脳・リンパ節・肝臓・副腎・骨などに転移しやすく悪性度の高いがんです。しかし、非小細胞肺がんよりも抗がん剤や放射線治療の効果が得られやすいと言われています。
小細胞肺がんではない肺がんの総称で、肺がんの約80~85%を占めています。腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなど多くの異なる組織型があります。治療は手術・放射線・抗がん剤などがありますが、特定の遺伝子変異をもつがんでは分子標的治療が期待できます。
一般的な症状として、咳、血痰、胸痛、息切れ、だるい、食欲がないなどがありますが、肺がんに特有のものではありません。また、進行の程度にかかわらずこうした症状がほとんどない場合が多く、検診などの胸部レントゲンやCT検査で偶然発見されることもあります。
肺がんの予防には禁煙が最も重要ですが、定期的に検診を受けて早期発見を心がけることも大切です。
最終更新日:2014年10月1日
(C)佐賀大学医学部附属病院血液・呼吸器・腫瘍内科