【学会報告】第76回 日本癌学会

2017年9月28~30日、横浜のパシフィコ横浜にて第76回 日本癌学会学術総会(JCA)が開催され、当科からは3題の演題を発表してきました。

 E-2070 Cellulose magnetic beadsを用いたDNA抽出はEGFR遺伝子変異検出率を向上させる

 P-3328 肺がん患者における血漿遊離DNAの特性(安部 友範 先生)

 P-3354 BMI-1を分子標的としたマントル細胞腫治療(前田 綾 先生)      (演題番号順)

中島はEnglish oral sessionでの一般口演、前田先生・安部先生はposter sessionでのポスター発表でした。
本学会のポスター会場では、ポスター前にいる発表者の方々と自由にディスカッションすることができました。大勢の人の前で挙手して質問、というのはハードルが高いものですが、こうしたポスター会場で同年代の研究者と気軽に交流できるというのはとても楽しいことです。また、年々発表者の方々の英語力が上がっているのをひしひしと感じます。我々も頑張らないといけませんね!

夕暮れのパシフィコ

横浜

前田先生(左)と小島先生(右)

前田先生、お疲れ様でした!

安部先生

笑顔で乗切りました!

全体を通した演題としては免疫療法が花盛りで、特に宿主側の因子に対する考察が深まっている印象でした。エクソソームに関する演題も多く、我々の研究内容と重なる部分もあり、大いに勉強することができました。また、次世代シークエンスの臨床応用がいよいよ現実のものとなってきており、クリニカルシークエンスの話題も沢山発表されていました。技術革新により、以前は考えられなかったような数多くの遺伝子のシークエンスデータが一度に得られるようになっています。一昔前にはバイオインフォマティシャンでなければ到底扱うことのできなかったようなデータについても、ビックデータ解析を基礎として解析法を定型化することで、だれにでも結果をとりあつかうことができるようになってきています。さながら、パソコンやスマートフォンの原理はよくわからなくても、だれもがそれを使えているのに似ていますね。
より網羅的に、より高感度な検査が可能となる中、得られたゲノムデータを正確に読み解いて、過不足なく患者さんの疾病治療に還元していくには、まだまだ知識や体制が不十分でしょう。けれども、技術革新という大きな波に押されながら進んでいく先には、「がん」を予防・治癒できるようになる未来が待っているかもしれません。一人一人の研究者の成果が有機的につながって、より大きな成果が育まれていくように、こうした学会への参加を通して交流を深めていければよいな、と感じています。

(C)佐賀大学医学部附属病院血液・呼吸器・腫瘍内科