第56回 日本呼吸器学会 総会

2016年4月8~10日 京都 国立国際会館、グランドプリンスホテル京都にて 
第56回 日本呼吸器学会学術講演会が開催されました。
当呼吸器内科からは、荒金 尚子 診療教授、 髙橋 浩一郎 講師、 小宮 一利 助教、 田中 将英 助教、
田代 宏樹 医師、 貞松 宏典 医師 ら 6名が参加してきました。
 

荒金 診療教授とともに

 

貞松医師

 

田代医師、小宮助教、

髙橋講師

田中助教、田代医師

 

それぞれの演題としては(演題順)

PP65 単球由来IL-33はHDMによる気道炎症に関与する(田代)
House dust mite(HDM)を経鼻的に感作・暴露した気道炎症マウスモデルを作成し、BAL中の肺サイトカイン測定、IL-33免疫染色、フローサイトメトリーなどを用いて、単球/マクロファージにおけるIL-33産生が気道炎症に関与していることについて、報告してきました(論文投稿中)。
 

PP404 ALK陽性肺癌に対するALK阻害剤の有効性と安全性の後方視的検討(小宮)
当院で経験した8例のALK陽性非小細胞肺癌患者について、ALK阻害剤の有効性・安全性を検討し、報告しました。ALK陽性例のうち、免疫染色・FISHともに陽性が6例、FISHのみ陽性が2例。Crizotinib, Alectinib投与例ともに病勢制御率 80%と良好な治療効果を示しましたが、CrizotinibではGrade4の肝機能障害が1例、Grade3の肺臓炎が2例、AlectinibではGrade2の肺臓炎が2例と特徴的な有害事象の出現も見られました。
 

PP739 当院における呼吸リハビリテーションの現状と課題(田中)
当院では2010年4月より呼吸器疾患で入院した患者に対し、部門・職種横断的な呼吸リハビリテーションを提供しています。呼吸リ介入による患者転帰の変化を後方視的に検討しました。当院では呼吸リハ介入により、COPD急性増悪で当院入院した症例で、平均在院日数の短縮や再入院率の低下を認めることができました。対象疾患により呼吸リハが寄与できる成果は異なるものの、今後とも呼吸リハの観点から地域連携を促進し、地域全体の呼吸ケア管理の向上に寄与していきたいと考えています。

 

PP775 IgG4関連疾患の肺病変に関する解析(貞松)
IgG4関連疾患の肺病変は様々な画像所見を呈することが報告されており、2010年~2014年に当院でIgG4上昇を認めた37例のうち、IgG4関連疾患包括診断基準 2011で確定診断群、疑診群に該当した15例について、後方視的に胸部CT画像解析を行いました。肺野病変としては結節性陰影が最も多く、中枢気道周囲の肺門・縦隔リンパ節腫大を同時に認める症例が多かったため、このような症例ではIgG4関連疾患を鑑別にあげる必要があることを報告しました。

 

佐賀は小さな県ではありますが、患者さんから経験させていただいて得られた知見を、世の中に還元していくべく、今後とも呼吸器疾患の基礎研究・臨床研究に励み、学会発表・論文作成を行っていきたいと考えています。

(C)佐賀大学医学部附属病院血液・呼吸器・腫瘍内科