がん県民公開講座を開催しました!

 730日の県民公開講座は173名の参加者を得て、盛会のうちに終了しました。

 

まず、がんセンター長の木村晋也先生より『がんセンターのあゆみ』についてのお話がありました。セカンドオピニオンの推進についてのお話に加え、カンファレンスやキャンサーボードなど、患者さんには見えない部分でのチーム医療についても紹介されました。
次に緩和ケアセンター長の佐藤英俊先生より、痛みが強いときやつらいときの対応について、お話がありました。がんと診断されたら、早期から緩和ケアチームが早期から介入することで痛みのコントロールが可能になること、医療用麻薬は痛いときに適切に使えば中止も可能であること、痛みの閾値はいろんな要素の影響を受けることなどが説明されました。
がん相談支援センターの中迫正臣さんからは、がん治療に関するお金について説明されました。支払う金額は患者さんの年齢や収入によって異なることを、寸劇を交えて説明されました。
 


 第二部では大分県「やまおか在宅クリニック」の山岡憲夫先生より『幸せな最期とは~在宅やホスピスでの看取りについて~』というテーマでお話がありました。がん治療などでは、医学的に「治療困難」と判断された後も長い時間があります。「ターミナルケア」ではなく「ターミナルライフケア」として患者さんに幸せな時間を過ごして頂けるようサポートしている様子をお話されました。「幸せな最期」の条件として望まれることは万国共通なものもありますが、日本独特の価値観で「人に迷惑をかけないこと」があります。「患者さんは家に帰りたいのであって、家で死にたいわけではない。」という状況は、臨床の現場でもよく見受けられます。
在宅診療は、様々な職種と協力する必要があります。「医師一人では何もできない。」と実感を込めて話されました。やまおか在宅クリニックでは入院施設がないため『いざというときに入院できる病院』を最初に決めておくそうです。「すぐに入院できる病院があるから、最期まで家でみられる。」というのは、逆説的ながら腑に落ちました。

 実際の患者さんやご家族の映像も流して頂きましたが「山岡先生のところに連絡すれば大丈夫、と思うから家庭で看ることができる。」と、強い信頼関係が感じられました。
 平穏な心があって、幸せを感じながら、最期は家族が「ありがとう」と言いながら看取る。シンプルながらなかなか実現できない、そんな『幸せな最期』の姿を見せていただき、自分たちの診療を振り返る機会ともなりました。

最終更新日:2016年8月4日

(C)佐賀大学医学部附属病院血液・呼吸器・腫瘍内科