当教室の板村先生・進藤先生の論文が、Journal of Clinical Investigation (JCI)の姉妹誌、JCI Insightに7/7に掲載されました。
本年5月の日本血液学会国際シンポジウムで紹介した内容で、骨子は以下の通りです。
1. MEK阻害剤トラメチニブは、マウス骨髄移植モデルにおいて、移植片対宿主病(GVHD)を選択的に抑制する。
2. トラメチニブは、移植後の抗腫瘍免疫(GVT効果)を温存する。
技術の向上した現在でも、造血幹細胞移植の合併症には致命的なものがあります。
今回の内容は、GVHDという厄介な合併症を抑え、でもがんの再発を防げるというもので、世界中の血液内科医が待ち望んでいたものです。
トラメチニブは既に悪性黒色腫という皮膚がんに対して日米で保険適応となっており、ヒトでの安全性は実証されています。
今後移植患者における臨床試験を経て、実臨床への応用が期待されます。
この結果は、新聞各紙(佐賀新聞・日本経済新聞・毎日新聞など)で報道されました。
次のステップは、臨床試験です。
現在まだ具体的な計画には至っていませんが、この論文を機に、一日も早く患者さんのベッドサイドにこの薬を届けられるよう、精進を重ねます。
"The MEK inhibitor trametinib separates murine graft-versus-host disease from graft-versus-tumor effects"
Itamura H, Shindo T, et al.
JCI Insight 2016; 1(10): e86331
最終更新日:2016年7月21日
(C)佐賀大学医学部附属病院血液・呼吸器・腫瘍内科