2016年5月10日(火) 慶応義塾大学にて 第2回 NGS現場の会 血液核酸マーカー分科会が開催されました。
今回のテーマは、がん患者さんの血液中に含まれる、がん由来の遊離DNA(circulating tumor DNA ; ctDNA)の検出感度と網羅性。
当科では以前より、EGFR遺伝子変異陽性患者さんの血漿を用いて、薬剤耐性に関与する遺伝子変異をモニタリングして実臨床に役立てており、今回 荒金 尚子診療教授がアプリケーションセッションにて発表してきました。
(画面が暗いですが、発表しているのが荒金Drです)
当大学で行っているのは主に血漿T790M 点突然変異のMBP-QP法による検出です。
EGFR遺伝子変異陽性肺がんの患者さんで、EGFR-TKI内服治療を受けている方々の血漿から、この点突然変異の存在をモニタリングすることで、薬剤に対する耐性の有無をチェック、次治療の薬剤選択に役立てることを、日常的に行っています。
また、先日Cancer Science誌に掲載された、他施設共同前向き研究の結果も発表してきました。
Monitoring EGFR T790M with plasma DNA from lung cancer patients in a prospective observational study.
(Cancer Sci. 2016 Feb;107(2):162-7)
ctDNAは血液中に含まれる量が微量なため、当科で行っているような検出感度の良い検査法を要します。一方で、感度の良い検査法では網羅性が担保しにくいのが問題でした。
次世代シーケンサー(NGS)と分子バーコード技術を組み合わせることで、検出感度と網羅性の両方を兼ね備えた検査系が確立できる可能性があります。
日本全国でNGSの最前線に立っている先生方とお互いの情報を交換し合えたことは大変有意義なことでした。
手作り感あふれるアットホームな会場で、多くの方とディスカッションでき、このような機会を用意頂きました先生方に大変感謝した会でした。
(C)佐賀大学医学部附属病院血液・呼吸器・腫瘍内科