がんリハ活動報告

佐賀大学病院では2014年6月より、血液腫瘍内科病棟(2北南病棟)に特化して、入院患者のADL、QOLを維持・改善するために、専従療法士2名を中心にしたがんのリハビリテーションを行っています。週に1回、病棟の看護師、医師、療法士が集まって対象症例のカンファレンスを行い、問題点や目標設定などを話し合います。

そこで「看護師が3人がかりでも移乗が大変な患者さんを、療法士さんは1人でひょいと動かしたり、支えたりできるのはどうしてですか?教えてください!」という声が挙がりました。

 

移乗とは、ベッドからベッドへ、ベッドから車椅子へ、車椅子から椅子へ、椅子から立ち上がる…などの行為です。自分ではなかなか動けない患者さんを移乗させるのは、けっこう大変です。医療や介護の現場でよく目にしますし、挑戦した一般の方々も多いのではないでしょうか。

 

病棟でもけっこう人手を必要とするこの移乗介助を、療法士は1人か2人でいとも簡単にやってのけます。彼ら曰く「そんな何人も必要ありませんよ」とのこと。す、すごい…。療法士のテクニックを看護師達に伝授する目的で、移乗講座を開催しました。2北南病棟の看護師を中心に、熱心な参加者で埋め尽くされていました。

 

移乗介助のコツは、患者さんと介助者の位置関係と重心移動。よく脇の下を支えて思いっきり引っ張る方がいますが、相当な腕力が必要です。患者さんの重心をできるだけ下から支えて(腰とか)、介助者に体を預けてもらい、介助者自身の重心移動で患者さんを動かします。膝折れがある人や麻痺がある人を介助する際は、患者さんの膝が動かないように自分の足で止めて制限をかけるとうまくいきます。

 

と、文章にすると難しそうですね…。参加してくださったみなさんが、今後の現場で生かしてくださることに期待しています。移乗がうまくできない方は、ぜひ療法士にお気軽にお尋ねください。

 

患者役と介助者役に分かれて練習しました。

患者さんを車椅子の端まで移動させて動かし始めるとうまくいきます。

車椅子はなるべく患者さんの近くへ寄せます。ベッドと患者さんの足の間に車椅子を滑り込ませるくらいでちょうどいいです。

体格のいい患者さんも1人で介助できるようになりました。

 

最終更新日:2015年9月30日

(C)佐賀大学医学部附属病院血液・呼吸器・腫瘍内科