AACR-NCI-EORTC International Conference for Molecular Targets and Cancer Therapeutics 2015学会報告
大学院博士課程2年 西田有毅
2015年11月5日から9日まで米国ボストンで開催された、AACR-NCI-EORTC International Conference for Molecular Targets and Cancer Therapeutics 2015に参加してきましたので、報告いたします。
この学会には、指導教官の小島先生と一緒に、初めて参加しました。米国および欧州の癌学会が共同主催している学会で、現在がん治療の薬物療法の中心になりつつある、分子標的治療にテーマを絞った、ユニークな学会です。がん治療の臨床医や研究者たちが、世界中から、2,500名程参加していました。
今年のメインは、何と言っても免疫療法(細胞療法および免疫チェックポイント阻害剤)の進歩でした。口演発表では、免疫療法関連の報告がかなりの部分を占めており、注目の高さが浮き彫りにされていました。免疫細胞療法は、特にCAR-T cellの報告が多く、免疫チェックポイント阻害剤は、皮膚がんである悪性黒色腫を皮切りに、数多くの難治性の悪性腫瘍で臨床応用されています。どのような患者さんに効果があるのか、耐性のメカニズムは、など課題が残っていますが、今後更なる進歩によって解明されてくるものと期待されます。
私は、現在の研究テーマである、BMI-1というタンパクを標的とした新規治療薬の報告を、11月6日のポスターセッションで発表してきました。ポスター前では多くの方に足を止めて頂き、この薬剤の機序や今後の可能性について、様々な質問を受けました。英語でのディスカッションでしたが、多くの方が私の拙い説明に熱心に耳を傾けて頂き、さらに研究を進めるモチベーションが高まる、大変良い機会となりました。
学会終了後は、少し時間がありボストン市内を少し回ることが出来ました。今年は異例の暖かさで、各所で色づいた木々が、ボストンの美しい町並みを彩っていました。やはりボストンといえば大学の街、それもハーバードかと思って、初めてキャンパスを見学してきました。また数多くの美術品を誇るボストン美術館にも足を踏み入れ、束の間の観光を十分に楽しめました。
これまで大規模の学会に参加することが多かったのですが、今回のようなテーマを絞った学会は、誰がどういう研究をしているのか、何が注目されているのか、一目で分かる良さがあると思います。次に発表できる機会があれば、ぜひ参加したい学会になりました。この学会に参加させて頂く機会を与えて頂いたことを感謝して、また研究活動に励みたいと考えています。
写真1 ポスター前にて
写真2 ハーバード大学キャンパス
写真3 ボストン美術館
最終更新日:2015年12月4日
(C)佐賀大学医学部附属病院血液・呼吸器・腫瘍内科